[インタビュー Vol. 02]
おもしろい中小企業、元気な中小企業には、魅力的な社長さんあり。
その生き方、仕事に対する思いを、留学生のみなさんに紹介していきます。
カネパッケージ株式会社/代表取締役社長 金坂良一さん
11月にしてはとても暖かい秋晴れの朝、JR八高線「金子駅」で下車。
歩き始めてまもなく、広い茶畑が目の前に広がりました。ここは狭山茶の産地です。

茶畑の間の道をまっすぐに進みます。気持ちのよい朝の空気の中を15分ほど歩くと、カネパッケージ株式会社の建物が見えてきました。
カネパッケージさんに出会ったのは、10月21日(金)のふちゅうテクノフェア(第22回府中市工業技術展、主催:府中市)です。
様々な機械や工業製品・素材などの展示を見て回っていたとき、ふと足がとまったのが、カネパッケージのブースの前にあった、マングローブ植林のパネルでした。社員の渡邉さんが、目をキラキラさせながら「私たちは、フィリピンにマングローブを植えて、環境を守る取り組みをしているんです」と話してくれました。
パッケージの会社がマングローブを?なぜフィリピンに?
よくわからないけれど、渡邉さんがそれを誇りに思っていて、ほかの人にも伝えようとしていることを感じました。
なんだかおもしろそうな会社です。
「社長さんにお話を伺いたいのですが」
「今、タイ工場が洪水にあってタイへ行っていますが、帰国したらぜひ!」
ということで、訪問させていただくことになりました。
訪問日は、ちょうど太陽光パネルの設置工事中でした。どこまでもエコな会社です。
広い会議室で、社長の金坂さんと、展示会でお会いした渡邉さんにお話を伺いました。

―――どんなものを作っている会社なのですか。
カメラやパソコンなどの製品を包むための、パッケージ(梱包材)を作っています。とくに、中身を守る緩衝材の設計には35年間のノウハウを持っており、特許もあります。
今はいろいろな製品がどんどん小さく・薄くなり、コンパクト化が進んでいますね。このような繊細な製品を包むとき、たくさんの緩衝材を使えばしっかりと中身を守れますが、パッケージは大きくなってしまいます。つまり、材料(資源)もたくさん必要だし、輸送コストもかかるし、ゴミも増えるわけです。大切なのは、なるべく製品と同じ大きさでコンパクトに、しかもしっかりと中身を守る緩衝材を作ることなのです。それには、いろいろな材料を組み合わせる工夫も必要ですし、力の分散などの構造力学上の計算も必要です。
このような私たちの技術は、国内の3本の指に入ると思っています。
―――タイ工場が洪水にあったと聞きました。海外にも工場があるのですね。
日本にも工場がありますが、海外にも中国・フィリピン・タイ・ベトナム・インドに工場があります。今後、インドネシアへも展開していく計画です。責任者は本社の社員が務めていますが、従業員は現地で採用しています。
―――環境保護活動に積極的に取り組んでいるのはなぜですか。
梱包材はゴミになるイメージがありますよね。どんどん売ってどんどん消費するビジネスは、80年代後半から90年代前半で終わりました。私たちは、梱包材を環境にいい形にしたいと思っています。いわゆる3R(Reduce減らす・Reuse繰り返し使う・Recycle再資源化)です。
―――どうして、フィリピンにマングローブを植林するという活動を始めたのですか。
さきほどの3Rだけでなく、企業のCSR活動として何か環境によいことができないかと考えていました。
そんな時、フィリピンのマングローブ林が、エビの養殖のためにつぶされているということを知りました。エビは日本にもたくさん輸出されています。しかも、フィリピンには私たちの工場があります。その上、マングローブは1本100円と安価で、しかも成長が早い。マングローブはCO2を吸収しますし、根をはって海岸線を保護する役目も果たします。また、その根元では様々な生物が育まれ、生物多様性にも貢献するのです。

植林は、従業員のだれでもが参加できます。私たちの工場は6カ国に分かれていて、ふだんはなかなか交流ができません。でも、フィリピンでの植林には日本・中国・タイなど各地の従業員が集まり、国を超えた連帯感が生まれています。そして、社会貢献しているという満足感が生まれます。
これまで、24ヘクタールに40~50万本のマングローブを植えました。フィリピン政府の環境省とタイアップして行っています。また、マングローブは植えて終わりではなく、手入れが必要です。これは、地元の雇用にもつながっています。
今後、ベトナム・タイ・インドネシアへも広げていきたいです。

―――企業のCSR活動=企業のイメージアップ、という印象がありました。でも、金坂さんや社員のみなさんが、この活動を本当に楽しんでいますね。
人の役に立ちたいという思い、ギフトの連鎖は、心を豊かにします。心に残る仕事が、本当の仕事です。従業員の心に感動体験が残る企業、そしてお客さんの心にも、驚き・感動・安心を届けられる企業でありたいと思っています。
このような思いを持っている企業はたくさんあると思います。一つ一つは小さくても、横のつながりができれば、地球規模のことだってできると思いますよ。
インタビューを終えて、私は企業のCSR活動のイメージが変わりました。社長さんご自身が、次はどんなことをしようかワクワクしている。そして、社員のみなさんが植林に「行きたい」と言う事実。やっぱりみんな感動したいし、人の役に立ちたい。それが、仕事を通してできるというのはとても幸せなことだと思いました。マングローブ林を渡る風を思い浮かべながら、茶畑の中を気持ちよく歩いて帰りました。
金坂さん、渡邉さん、どうもありがとうございました。
DATE : 2011年11月14日(月)
PLACE : カネパッケージ株式会社
INTERVIEWER : 小野朋江
取材企業DATA
カネパッケージ株式会社(http://www.kanepa.co.jp)
本社:埼玉県入間市南峯1095-15
設立:1976年
資本金:5,000万円
従業員:500名(関連会社含む)





